第1章 初日から難あり

3/12
前へ
/12ページ
次へ
「斎藤先生」 朝のホームルームを終え、職員室へと向かう斎藤を呼び止めた 瀬戸より幾らか高い長身がゆっくりと振り向き、「どうしましたか瀬戸先生」と如何にも面倒臭さを滲ませた声を発した だが瀬戸もここで引く訳にはいかず 「先程の教室の件ですが、一体どういう事ですか!?」と声を荒げる 「生徒が3人しか学校に来ていないってどういう事ですか?他の生徒は何処へ行ったんですか?何故そんなに斎藤先生は普通にしていられるんですか!?」 混乱と困惑で自我が抑制出来ていない。 斎藤には直ぐにそれが理解出来、はぁっとため息を吐き宥める様に言葉を告げる 「瀬戸先生は今日が初赴任で大分驚かれている様ですが、ここではあれが普通なんですよ。寧ろまだ生徒が3人いて良かったくらい。いや、正直いない方がこちらとしては身の安心もあるのですがね」 「あれが普通って・・・」 ありえない、と呟いた瀬戸に斎藤は肩を竦めて首を振った 「ありえるんですよ。この学校では。瀬戸先生もこの学校がどういう学校か噂は耳にしているでしょう。西花帷(さいかい)高校、蔑称では最下位(さいかい)高校とまで呼ばれている各地の不良達の溜り場。そんな学校なんですから」 「最下位・・・」 何とも酷い言われ様だ。 「本来ならばこの学校の担任・副担任は最初に任命されたクラスは自動的に3年間受け持つ事になっています。それが今回副担任の席が空いてそこに瀬戸先生が着いたのは、前回の副担任の教師が精神を患い退任されたからです。」 「・・・・」 突然驚愕の事実を突きつけられ、途端に足が竦む
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加