第1章 初日から難あり

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西花帷高校。通常なら男女共学の筈だが、その素行の悪さと絶えること無い悪い噂故に女子生徒からの人気は低く今や全体の9割が男子生徒で溢れている。 そしてその殆どの生徒が問題児揃いとの悪循環。類は友を呼ぶと言うべきか、年々その生徒達の問題行動は周囲から恐れおののかれ今や学校名を名乗るだけで倦厭されるのだ。 正直瀬戸自身、初めての赴任先が西花帷と聞いた時には辞退する事も多少なりとも考えた。 悪い噂しか聞かない学校で教師としてちゃんと勤められるのか、暴力沙汰などの事件に巻き込まれたりしないのか、その他にも不安は尽きなかったのだ。 しかしそれでも瀬戸は教師として生徒を真っ当な道に進めてやりたいと言う気持ちが強かった。 ー自分なら出来る。そう無理矢理自分に言い聞かせて今日ここへ決意を新たにやって来た。 だが初日から学級崩壊と言う事態が、瀬戸の熱く燃えた決意をあっという間に鎮火してしまうのが悲しいかな現実だった 現実を突きつけられて落ち込んだ瀬戸の肩に斎藤の手が優しく添えられる 「瀬戸先生の気持ちは分からなくもないです。私も最初はそうだったのでね。兎にも角にも今はこの学校に慣れる事だけを考えてくださいね」 その安易な優しさがこの瞬間ではとても虚しいものに感じた
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