第1章 初日から難あり

6/12
前へ
/12ページ
次へ
宮藤から報告を受けて一時間経った後。 瀬戸は新学期始まって最初の始業式に出席する為体育館に集まっていた。 既に全校生徒の前で赴任後の自己紹介と挨拶を終え、カチンコチンに強張っていた緊張を解きほぐし今ではいつまで続くのか終わりの見えない教頭先生の挨拶に耳を傾けていた 「~とありまして、我が校の生徒諸君には是非とも今後何事も事故やその他不祥事を起こさぬよう十分に気をつけて頂きたいと思っております」 話の途中ふと気になって自分のクラスの生徒の方へ視線を向ける G組の列だけは相変わらず生徒は3人のまま、他のクラスの生徒に紛れる様に並んでいた その先頭には先程会話した宮藤の姿が見える。 制服である学ランをダラりと着崩し、耳にはいくつものピアスの痕。今も教頭先生の話を聞きながら眠そうに大きな欠伸をしているのだ それでも格好や教師に対する態度を抜かせば成績は優秀で、他の生徒達とは違い授業にも欠かさず出席するらしい。そして一年時は学年委員を務めるなど、見た目で判断するのは良くない事なのだが見た目に反してとても真面目といえる。 (それでも) 問題はその彼の家庭にある。 斉藤に聞いた所、彼の父親は四代目宮藤会の会長。つまりヤクザのトップという聞いただけでサァーと血の気が引いてしまった (斎藤先生にも宮藤の取り扱いには十分気をつけるように注意されたけど、なんだかな・・・) 「なんだか生徒が触れてはいけない危険物みたいだ」 「何かおっしゃいましたか瀬戸先生」 (しまった!)と思った時には既に口に出ていて、横に並んで立っていた斉藤先生が不思議そうな顔をしてこっちを見ていた 「すみません、独り言です」 「そうですか」 きっと聞いていた本人は教頭先生が話をしている時に何て不躾なと思っている事であろう。 頭をフルフルと横に振って考え事を外に飛ばすのであった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加