第1章 初日から難あり

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(何だか外が騒がしいな) 場所を戻して体育館では未だ教頭挨拶が続いており、そこにいる生徒の殆どがうつらうつらと船を漕いでいた そんな中、時折外部からドンドンっと何か大きな物を叩きつける様な音が響くと後ろの方に並んでいる生徒達は不思議そうに背後の入り口の方に顔を向けるのだ 「斎藤先生、何か外の方で音がしませんか?」 「そうですね」 斎藤にもその音は聞こえていたらしく、「ちょっと確認してきます」と頭を掲げながら教師陣の列の前を通り抜け入り口へと足を急いだ 正にその時である ドーンッッというこれまでで一番激しい音が背後から響き、入り口の方から何かが飛び込んで来た いや、飛び込ん出来たというよりは宙に綺麗なカーブを描きながら吹き飛んで来たという表現の方が正しいのか (何だあれ、人!?人が飛んで来た!?) そしてその人物を追う様にまた一人の人物が体育館の中に飛び込んで入り、其れに続いて続々と制服姿の男達が雪崩れ込んで来る 「オララァァァ!いい加減にしろやテメェら!!」 野次馬となった生徒達の隙間からスキンヘッドの頭が覗ける 着ている制服から見ても西花帷の生徒である事は確かだ スキンヘッドのその男は未だ先程の衝撃で床に身体を沈めたままの男(こちらは制服が違う事からどうやら他校の生徒に見受けられる)へ吼える様に叫び今にも飛び掛かりそうな勢いであった あまりに突然の出来事に唖然とするも、目を凝らして見れば入り口近くで床に伏せて倒れているG組担任教師の姿が視界に入りハッと意識が冴える 「さ!斎藤先生!!」 恐らくは先程男がが飛び込んで来た際その場に居合わせて巻き込まれてしまったのであろう、運の悪い事に (ど・・どうにかしないと) 俯せのままピクリとも動かないその姿に思わず瀬戸の中の正義感が(助けなければ!)と強く働き意識せずとも身体が動いた 「テメェェラ!北花帷のモンが何の用だゴラァ!」 瀬戸が動き出したと同時に前列で並んでいた宮藤がズカズカと騒動の渦中の現場に野次馬になった生徒達の間を掻き分ける 今朝目にした何処か人懐っこさを感じさせた子犬の様な顔は今や猛犬の様に厳つい顔つきで、そのまま他校の生徒に飛び蹴りを喰らわせながら乱闘の中に割って入り込んで行った
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