第1章 初日から難あり

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「ぼ、暴力は止めないか!他校の生徒の者は直ちに帰りなさい!」 最早始業式の挨拶所ではない状況に教頭自らマイク越しに壇上から制止を掛けるも「うるせぇ!ぶっ殺すぞ!!」との怒声にヒッと縮こまり触らぬ神に祟りなしと颯爽と壇上から姿を消すのであった 一方体育館に集まっていた生徒達は面白い暇潰しが始まったと野次馬になり中心で暴れる同士達を囃し立てる そして教師陣が一段となって「生徒達は教室へ戻りなさい!」と騒動を止めようとするもその声を聞く者など一人もいなかった そんな中で何とか野次馬を掻き分けて斎藤の元へと辿り着いた瀬戸 俯せのままの斎藤の身体を起こし怪我の状態を確認して顔を上げると、目の前には渦中の少年達が一触即発状態でいた 他校の生徒は五人。如何にもガラの悪そうな風貌で内一人が先程まで床に伏せていた男を抱え上げると西花帷の生徒を鋭い目付きで睨みつけている。一方西花帷の生徒は三人、新たに騒動に参戦した宮藤とスキンヘッド頭ともう一人日本人離れした体格と顔付きの男。 そしてその二人の顔には何処か見覚えがあった。 (と言うよりあの二人組・・・G組の生徒じゃないか!!) スキンヘッドの男は設楽 玄丈(したら げんじょう)、実家で寺院を営んでおり父親は住職という有難い境遇である。 そして日本人離れした男の名は松田ハーロルト。父親がドイツ人、母親が日本人のハーフで、190cmの巨体を持つ。 (近くで見ると迫力が凄いな)なんて暢気な事を考えていたのも束の間、他校の生徒の一人が設楽に向けて啖呵を切った 「おい、こらハゲ。テメェ調子こいてんじゃねぇぞ。」
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