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私の小さな足音に気づいた彼は、上半身を起こし私の姿を確認すると、また仰向けに寝転んだ。
立ったまま私は、彼を真上から静かに見下ろしていた。
彼は何も言わない。
私も何も言わない。
ただ、私の瞳は彼への想いを訴え、寝転んだままの彼の唇に私の唇は触れた。
いつもの私じゃなかっただけ……頭の中で必死に理由を見つけ出した私は、彼のもとから走り出した。
「……っつ、はぁ」
逃げ出したはずなのに、私の腕は追い付いた彼に手繰り寄せられ、私の唇は彼に深く啄まれていた。
混乱する頭を置き去りに、深くなる彼の愛撫に私の体が反応する。
「……んっ、くっ……」
彼の口から漏れた声に、私の目からひとすじ涙が流れた。
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