第1章

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死んだらどうなるんだろう。寝ようとして目を閉じると頭によぎる。 自分自身の意識がなくなり全てが真っ暗になって身体中に見えない鎖をつけられただ一人でその暗闇にいるのだろうか? 自分が過ごしている時間が本当に意味があるのかを考えると頭がおかしくなる。生き物は、生まれたら最後は死ぬ。 それが当たり前のことだとは、分かっているが受け入れられない。じゃあなぜ俺は、この世界に生まれ落ちたんだ。 神様といういるかわからない者たちの遊びで使われているおもちゃなのではないかと考えてしまう。頭の中が混乱していた。 「くそったれ、このやろう」 真夜中2時のベッドの布団の中で叫んだ。叫んでもこのむしゃくしゃした感情は、抑えきれなかった。 キッチンで冷蔵庫に入っている麦茶を飲んでから玄関で誰が履いてもいい用に置いてあるスリッパを履き家を飛び出し散歩することにした。 深夜の街は、静かだった。歩いていると道脇に猫の死体があった。 たぶん何かの乗り物に轢かれたのだろう身体から血が出ていた。 その死体を見て、ふと思った。この猫の時間は、もう一生動かないのだと。 その死体に向かって合掌をして少し目を閉じた。
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