第1章

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 俺はコハルに能力がある事が分かって以来、部屋に籠りタイムトラベルばかりしている。それはさながら実験で、小夜がいない世界を少しでも考えるとどうなるか、という事を考えてからタイムトラベルをするのだけれど、全て砂漠の世界が広がっていた。  小夜がいないと願うからだと思ったからだと発見した日には、小夜と出会わない世界を願ってみたけれど、それもダメだった。  俺と小夜は、いわば運命の赤い糸で結ばれているらしく、離れると世界は崩壊してしまうらしい。  ボロアパートの時代に戻るくらいだったら、世界が崩壊することはないんじゃないだろうか。  俺は風呂の中で思って、即座に実行してみた。  が、結果は同じで世界はやはり崩壊し、砂漠と化している。  たかが自分の過去の数年を戻りたいと願うだけなのに、それすらもう許されない。  小夜と出会ってから、俺の能力は完全に使い物にならなくなってしまったみたいに、ダメだった。でも、小夜と別れたいと願わなければ、タイムトラベルも出来た。  ある日の仕事中の事だった。
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