第1章

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「うん。コハルを外に連れ出して散歩にでも行くよ。まだ明るいから平気だろ」 「ええ?!」  驚いた声は更に大きかった。  そして、小夜はコハルを抱いて俺の前に現れた。 「いいけど。でも、もう陽も暮れてきてるし、あんまり遠くにいかないでよ」 「分かってるよ」 「お風呂せっかく入ったのに」 「いいよ。俺は。コハルはどうする? また入れるか?」 「汗掻いてれば入れるけど、多分大丈夫でしょ。じゃあ。お願い」  そう言うと、俺にさっさとコハルを渡し、自分は用意されたカレーを食べ始めた。  小夜はコハルを溺愛しているのか、それともどうでもいいのか、よく分からない。  俺に預けていれば安心ということなんだろうか。 『小夜は、優しいんだよな?』 『うん。優しいよ』 『それ、間違いじゃないか』 『お父さんがおかしいよ』  コハルの一言が俺には辛かった。  おかしくなったのは、俺なのだろうか。  小夜があんなに短気でヒステリーになったのに、俺は変わらないつもりだ。  それを分かってくれる人はいない。
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