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「うん。コハルを外に連れ出して散歩にでも行くよ。まだ明るいから平気だろ」
「ええ?!」
驚いた声は更に大きかった。
そして、小夜はコハルを抱いて俺の前に現れた。
「いいけど。でも、もう陽も暮れてきてるし、あんまり遠くにいかないでよ」
「分かってるよ」
「お風呂せっかく入ったのに」
「いいよ。俺は。コハルはどうする? また入れるか?」
「汗掻いてれば入れるけど、多分大丈夫でしょ。じゃあ。お願い」
そう言うと、俺にさっさとコハルを渡し、自分は用意されたカレーを食べ始めた。
小夜はコハルを溺愛しているのか、それともどうでもいいのか、よく分からない。
俺に預けていれば安心ということなんだろうか。
『小夜は、優しいんだよな?』
『うん。優しいよ』
『それ、間違いじゃないか』
『お父さんがおかしいよ』
コハルの一言が俺には辛かった。
おかしくなったのは、俺なのだろうか。
小夜があんなに短気でヒステリーになったのに、俺は変わらないつもりだ。
それを分かってくれる人はいない。
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