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容「……夏祭り、かぁ。」
そう書かれたチラシをぼんやりと見据えて僕は呟いた。
主である錺は「私は山に籠ってようかな。」とか言って居なくなったし。
「どーせ皆“好きな人”と回るんだろうな……」
そう言葉に出してから、ふとある人の姿が脳裏に浮かんだ。
金の髪に、紅い瞳で、何処か超然とした雰囲気の彼。
「ーー真生、くん。」
彼の名前を呼ぶと、動いて居ない筈の心臓が脈打つような不思議な感覚が襲ってくる。
……これはきっと。
「ぼっちで回るのは面白くないからね……真生くんでも誘おう。」
そう自分に言い聞かせるように言って、僕は部屋を出た。
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