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正矢は舌打ちをすると、最初の目的を果たすために物入れを漁る。
正矢「…あった」
彼は包みを見つけた。すぐに中から警棒を取り出す。前に変わり者のクラスメートから貰った物だ。
級友『私と関わったの…いつ狙われるかわからん。お前も護身用で持つといい。…何、お古だから遠慮はいらん』
正矢「アイツは何と戦ってんだ?」
まあ、無いよりはマシだろう。正矢は部屋を出て、静かに玄関へと向かう。
呼び鈴は未だに鳴り続けている。正矢は警棒を隠して、出来るだけ音を出さずに玄関の鍵を外し、取っ手に手を掛けた。
正矢は今も鳴るチャイムに合わせ、深呼吸を繰り返す。そして、意を決して扉を明け広げた。
…風が入ってくる。正矢は目を細めた。
正矢「あれ?」
誰もいない。正矢は拍子抜けしてしまう。全開に明け広げた扉と、決意が無駄に空回りをしたみたいだ。彼は身を引いて扉を閉めながら、溜め息をついた。
正矢「たく…質の悪いピンポンダッシュだな…」
正矢が振り返ると、屋上で見た天使が目の前に立っている。
天使「ニコッ…」
彼女は手を振って柔和な笑顔を向けていた。
正矢「…………」
ガッ!…外へ逃げようとした正矢は扉へ激突する。何故か扉が開かない。
ニャーと下駄箱の上で黒猫が鳴く。
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