1405人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」と小さな声と共に反射的に振り向いた瞬間、二重瞼で切れ長の目をした彼と視線がぶつかった。
けれど、そこから先のことは、ほとんど覚えていない。
あまりにも突然過ぎて。
たった今〝告白された〟という事実が〝ここ〟にあるだけだ。
「ごめん驚かせた? でも前から気になってて。よかったら俺と付き合って欲しい」
「……あ、うん」
気づけば返事をして、頷いている自分がいた。
それほどまでに、頭の中が混乱していた。
同じクラスの北条礼といえば、〝普通〟を絵に描いたような私とは、まるで無縁の存在だったからだ。
というのも彼は、私の通うこの南高校で試験の成績上位者が廊下に張り出されるたびに、必ずといっていいほど名前がある。いわゆる優等生の部類だった。
しかも、それだけじゃない。
←
最初のコメントを投稿しよう!