お知らせです!

7/11
前へ
/13ページ
次へ
2  あれから二ヶ月ほどがたって、高校二年生になった。  新学期になると蛍光灯がなければ薄暗かった教室とは一変して、半分開け放した二階の窓から光のシャワーが優しく降り注いでいる。  四月は風に舞い遊ぶ桜の花びらを授業中にも何度か見た。  真っ青な空を背景に、地面へ向かって、ただひらひらと落ちていく色褪せたピンク色の花片が、なんだか半分抜け殻になったような自分の心の中に似ていると、ぼんやり考えながら。  それもそうだ。  あの日、私に告白してくれた礼くんは、このクラスにはいない。 ←
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1405人が本棚に入れています
本棚に追加