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あれから二ヶ月ほどがたって、高校二年生になった。
新学期になると蛍光灯がなければ薄暗かった教室とは一変して、半分開け放した二階の窓から光のシャワーが優しく降り注いでいる。
四月は風に舞い遊ぶ桜の花びらを授業中にも何度か見た。
真っ青な空を背景に、地面へ向かって、ただひらひらと落ちていく色褪せたピンク色の花片が、なんだか半分抜け殻になったような自分の心の中に似ていると、ぼんやり考えながら。
それもそうだ。
あの日、私に告白してくれた礼くんは、このクラスにはいない。
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