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「君が一人で寝れないのなら、一緒に寝ても良い」
そしてジンはロボットのように、同じセリフを繰り返した。
「い、『一緒に寝ても良い』って……」
「君に怖い思いをさせないのも、また、俺の役目だ」
「ふぅん。つまりそのためなら、私を抱いたのも、一理あったということね?」
ほんのり頬を赤らめながら、肩まであるサイドの髪と同じ長さの前髪を、クシャッと掻き分けるジン。
そんな彼を見て、ユリエは口に右手を当て、上品にクスクスと笑った。
「君は俺をからかって楽しいようだな」
「あら。からかっているつもりはさらさら無いわ。ただ」
「ただ?」
「あなたって、普通の男なら照れるであろうセリフも、普通に言っちゃうから、あなたが照れているところはレアに感じるだけよ」
「そうか」
「ところで。あなたは、本当にどこで寝るつもりなの?どうせこの部屋も外側から南京錠をかけるのでしょう?そんなことしなくても、私はどこにも逃げないのにね」
むしろ、あなたについて行きたい・・・
そんな想いは決して言えないけども。
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