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ユリエは、またしても『安西 愛乃』という女性の名の偽造パスポートで香港を出国し、羽田空港から日本への不法入国を果たした。
そして、羽田空港の駐車場に止まっていた黒いクラウンに乗った。
今回は、あの視界を悪くするためのメガネは、かけさせられなかったので、その車が東京プリンセスホテルの駐車場で見た車と同じ物だとユリエはすぐにわかった。
運転手の男も同じ人物で、ふたりが後部座席に乗り込むと、もう目的地は決まっているかのように、すぐに運転を始めた。
車は一時間ほどで止まり、ユリエとジンは降りた。
車が止まったのは、五階建ての赤レンガ造りのマンションの前だった。
しかしジンは、車が走り去って目視出来なくなるまで、その場に立っており、マンションに入ろうとしない。
「あの…ジン?早く入りましょうよ。寒いわ」
ユリエが不思議そうに聞くと、ジンは驚くべき事を告げた。
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