第18話 新たな住みか

4/10
前へ
/174ページ
次へ
「近くの駐車場に、俺の車が止めてある。少しだけ歩けるか?」 「ジンの車!?」 「こっちだ」 ザッザッと雪を踏む音が響くなか、ふたりは雪道を歩いてゆく。 黒いアスファルトの道は、真っ白な雪が足首辺りまで積もっていた。ふたりが歩いたあとには足の形の穴が残る。 ジンは、それらの全ての足跡を、周囲の雪を使って、乱暴に足でぐちゃぐちゃに崩した。 そしてジンが向かった先は、緑のフェンスに囲まれた、車八台を止められる駐車場。 「ジン?家はそこなんじゃ…」 「さっきの場所は、ダミーだ。いわば見せかけだ」 一番奥に停めてある車の鍵を開けると、ジンは運転席に座り、エンジンをかけ、シートベルトを締めた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加