第18話 新たな住みか

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「基本的には、九龍で生活をしていたときと変わらない。食事の心配もない。朝も昼も夜も俺が用意する。ただし、勝手に外に出る事は出来ない」 ジンが話している間、ユリエは部屋の中をゆっくりと円を描くように歩き、ジンの前で立ちとまった。 「そして、あなたとは、また別々で寝る、と。それも変わらないのよね?」 ジンは口を閉じ、ポカンとした表情でユリエを見た。 ユリエは少し挑発的な笑みを含んだ表情で、両手を後ろに組み、ジンを見ている。 「…………」 しばしふたりの間に沈黙が流れた。 どのような反応が返って来るのか、ユリエは内心ドキドキしていた。 「…君が一人で寝れないというのなら、一緒に寝ても良いが」 ジンは一ミリも照れることなく、顔を赤らめることもなく、無表情でゆっくりと答えた。 ユリエは「えっ」と聞き返す。 望んでいた通りの台詞を、こんなに早く聞けるなんて、思っていなかったから・・・
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