#1 ~声~

8/8
前へ
/10ページ
次へ
「え?」 ・・・ホントだ。制服、一緒・・・ あーもう、私ったら。度重なる失礼を・・・ 「何年生スか?」 「今年から二年です」 「あ!」 「!」 突然の大きな声に、肩がビクッとする。 「俺も、今年から二年」 「あ、そうなんですね」 親切というか、この人、人懐っこいんだ。 全然警戒しなくて良いし、必要以上に踏み込んで来ようとしないし。 「俺、棗 遥(なつめ はる)」 「神志那美桜(こうじな みおう)です」 「よろしく!」 「はい」 ・・・というか・・・・・・ 今、何時? 私、どれくらい寝てた!? 新学期早々遅刻とか、絶対ヤダな・・・ 棗くんも私と同じように、時間が気になっているみたい。 左手首に付けられた腕時計をチラリと見た。 「8時3分」 ここから学校までどれくらい掛かるっけ。 「走れば間に合うけど、走れそう?」 「大丈夫です!」 「ま、倒れそうになったら言ってね。おぶるから」 「そ、それは遠慮します!」 恥ずかしさで赤面しているであろう顔を見て、棗くんはケラケラと笑い出した。 その姿を見て、私も笑みがこぼれる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加