トイレを愛する風紀委員

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 学園の女子トイレ――  そこは世の男性にとっては聖域であり、禁断であり、また魅惑の花園であったりとするのでしょうが……ああ、それは大きな間違いなのであります。  夢見がちな草食系の男性諸君の夢を壊すのは、大変申し訳なく思いますが……まあ、この際だからはっきりと申し上げてしまいましょう。  学園の女子トイレ――  そう、そこは女子生徒たちの醜悪な妬みや嫉妬の感情が蠢く魔境なのです―― 「2組のリエって奴さー、あいつブスの癖にちょっと生意気じゃない?」 「あー、そうそう、何か最近チョット勘違いしてるよねー」 「アー、アタシも昔からアイツ超キライ! 優等生ぶって男に媚び売りまくりじゃん!」 「そーう? 言うこと聞けばなんでも『ハイハイ』引き受けてくれるから楽ジャン~、私は好きだよああいう『奴隷』――」    鏡面台の前で化粧を整えながらこの女性グループのリーダー『サエコ』さんが言葉を続けます。 「この前だってトイレ掃除の当番『彼氏と用事があるからお願~い☆』って頼んだら一人でやってくれたしね~。キャハハハ、でも、そっか~、男に媚びってんのは生意気だね~、『奴隷』の分際で~……キャハハハ、これはちょっと『お仕置き』が必要かなぁ~」  サエコさんはその醜く歪んだ素顔を化粧で隠すと洗面台を水浸しにしたままトイレを出ていきます。  他のグループもサエコさんに続いてそのままトイレを後に……  そして誰も居なくなった事を確認すると、その女子グループに気が付かれぬように個室トイレにて身を潜め、ジッと息を殺していたワタシは「はあー……」っと大きな溜息を吐きながらそっと顔を出すのです――
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