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「ここが、天正高校か…」
春に桜が舞い散る中、生駒彩綾は私立天正高校の門の前で感傷にふけっていた。
白亜の校舎が特徴的な、ここ天正高校は、富裕層の子供が多数通っていること、偏差値が高いことで知られている。
天正高校は、小学校から大学まであるエスカレーター式のため、小学校から入学してきた人たちの大半は、偏差値の割にそこまで頭が良くない。
だが、彩綾たちのような一般入試枠は偏差値がとても高い。
そのため、彩綾たちのような一般入試枠が天正高校の威厳を保っているのだ。
一般入試枠が天正高校の威厳を保っているとするならば、エスカレーター枠は天正高校の資金を潤している。
天正高校は、他の高校と比べても格段に設備が整っており、そのために必要な資金のほとんどがエスカレーター枠の人々から支出されている。
一般入試枠とエスカレーター枠。
その二つがあってこそ、この天正高校は成り立っているのである。
彩綾は、門の前で自分と同じような一般入試枠の子と、本来であればまるで接点がなかったであろうエスカレーター枠であろう子を見比べた。
「さて、いきますか」
憧れであった制服のスカートの裾を少しつまみ、彩綾は天正高校の門をくぐった。
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