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入学式を終え、一年生たちは自分のクラスがどこなのかを発見しようと、大判のプリントに集まっていた。
彩綾もその群れに混じって、自分の名前を見つけた。
「あ、あった」
あいうえお順だったため、だいぶ上の方に生駒彩綾の名前はあった。
生駒彩綾 1ーx
い、いちのえっくす?
慌てて他の子たちのクラスの名前を見ていったが、どこにも1ーxというクラスの子は見当たらなかった。
ガヤガヤと騒がしい他の生徒とは打って変わり彩綾が呆然と立ち尽くしていると、突然肩を叩かれた。
「はじめまして、生駒彩綾さんだよね?僕、扇町仁(おうぎまち じん)っていうんだ。1ーx級の担任。ついてきて、x級に案内する」
そう言って扇町が生徒たちが歩いていた方とは真逆の方向に歩き出したので、彩綾は慌てて後を追いかけた。
「あの、1ーx級ってなんなんですか?」
「末裔たちの教室」
なんの感情も抱いていないかのような平坦な声で言われた。
それにしても、末裔?
と、首をひねっていたが、そんな彩綾の様子など露知らぬ様子で、扇町はある教室のドアを開けた。
末裔、という言葉と自分だけなぜか他の一般入試枠の子たちと違う、という思いから入れずに躊躇していると、中から扇町の「入れ」という声がかかった。
恐る恐るドアを開けると、直後突然一人の女子生徒が駆け寄ってきた。
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