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教室に現れた、間抜けな顔をした男子に対して寧々は恐ろしいほどににっこりと微笑んだ。
「あらシュウ。誰のところに行ってたの?」
「あ、え、えっとね~……い、市先生の所かな!」
じろりと冷たい視線を投げかけた後で、寧々は事務的に「これ、木下秋(シュウ)」と彩綾に紹介した。
「いやちょっと寧々ちゃん酷くありません!?……わあ、さっきの転校生ちゃん!?かわいいね、うんかわいい!!」
「生駒さんにまであなた手を出す気?」
握手のつもりだったのか、シュウは彩綾に出そうとしていた掌を寧々に手で弾かれていた。
「あの、この二人の関係って……」
政弥の隣にいた愛にこっそりと声をかけた。
「付き合ってるらしいよ~。今は、シュウが彩綾に手を出そうとしたからお説教タイム中」
「シュウさんって、まさか手当たり次第に女のコに手を出しちゃうタイプ?」
「うん。さっき話しに出た市先生っていうのは、保健室にいる美人の先生なの。でも、結構冷たくあしらわれてるの。で、菊乃ちゃんっていうのは、うちとは違うクラスにいる市先生系の顔をした女の子。シュウに口説かれたらしい……っていうか、だいぶ彩綾が私に対する敬語消えたねー!!
その調子その調子!」
政弥はぴょんぴょんと飛び跳ねる愛を微笑ましく見つめた後、「案内役の寧々ちゃんがあんな調子なので、続きは僕がさせてもらいますね」と彩綾に顔を向けた。
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