第1章

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A「ねえ……いつまでそうしてるの?」 B「お前こそ……いつまで俺につきあってんだよ」 A「私は別にいいの。お日さまの光で読む本は最高の贅沢よ」 B「……分かんねえよ」 Aはただページを繰る。Bはあずまやの入り口に屈んでいる自分が惨めになって立ち上がった。 そうして、Aの前に歩を進める。目の前に立ち、真っ直ぐに見下ろす。 A「……そう、立ち上がれる」 B「……俺はただ、もううずくまってるのに飽きただけだし」 A「それがいいの。……ねえ」 B「何だよ」 全てを見透かすようなAの言葉は居心地が悪くて、それなのに安心する。落ち着かない気持ちと、温かさを同時に味わう。 Aは、ぱたりと本を閉じて横を向いた。 そうして、眩しそうに片手をかざして微笑む。 A「木漏れ日が全部抱いてくれるよ。だからBは明日も頑張っていいんだよ」 B「……」 Bは無言で木漏れ日を見つめた。綺麗な。
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