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和人や和人の父親を探す必要は、もう無くなった。
男たちは、慌てたように車に乗り込んで、去っていった。
「国内がダメなら、海外から。頭は使いようだろ」
龍一は涼しい顔で言うが、皆人の頭脳戦がかくれんぼだっただけに、言葉も出ない。
せいぜい、
「もうちょっと早く対処して欲しかったしね。疲れちまったぜ」
イヤミを言ってみるだけだ。
龍一はこたえた様子も見せずにふんわり笑い、
「よく寝てるな」
と言った。
皆人が振り返ってみると、背中に背負った和人が、すうすうと寝息をたてている。
「ホントだな」
少なくとも敵と会話していたのに、起きる様子もみせない。
「いい度胸してる」
龍一が言うので、
「俺にそっくりだしね」
同意しておいた。
Fin
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