スキー場編

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「確かイリュージョンにも、初心者用の林間コースがあったはずだな」 すでに、スキー場の全体地図が頭の中にインプットされている龍一は、うんざりと口の中で呟く。 そんな龍一の尻馬に乗った皆人が、すかさず手をあげて提案した。 「じゃあさ、俺たちはスキーじゃなくスノーボードにしようぜ。これならスキー初心者のみゆっちと乃亜のハンデになるっしょ」  ――意味がわからない。 これから上級者コースに行くというのに、やったこともないスノーボードに変える理由がどこにある。 しかし皆人の中だけでは、筋が通っているようだ。 加えて、そんな悪ノリに、一番最初に乗っかるのが美百合だ。 「面白い。龍一ってばスキーは上手でも、ボードはしたことがないんでしょう」 事実なので、認めると、 「じゃあ決定! 皆人くんと龍一はボードで、私たちはスキーで出発よっ」 本当に意味がわからない。
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