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皆人と龍一は無事合流することが出来た。
和人を背負った皆人を見て、龍一はふっと目を細める。
「見てみろ」
皆人が振り返ると、和人は皆人に体を預けて、くうくうと寝息をたてていた。
「たいした保護者ぶりだな皆人」
信頼しきって眠る和人の寝顔は、まだ赤ん坊のようだ。
「兄貴。逃げるったってキリねーぜ。一体いつまで逃げればいいんだよ」
皆人もいい加減疲れてきたので、龍一に聞く。
龍一は追っ手の気配を感じて、皆人を暗闇に引きずりこみながら、
「大丈夫だ。もう2時間もしないうちに決着がつく」
と説明のつかないことを言った。
「逃げ回ってるだけで、決着がつくなんて、到底思えないけどね」
憎まれ口を叩いてみたものの、皆人は根本、龍一を信用しているので、
左腕を一旦のばし、肘を曲げて、腕時計を確認する。
午前1時。
和人が眠ってしまうのも、無理のない時間である。
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