温泉編

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浴衣姿に背中には和人と、子連れ狼さながらな格好で皆人は考える。 走り回っても体力を消耗するだけだ。 龍一に言わせれば、タイムリミットまで2時間をきっているそうだから、 「そんならどっかに隠れて、やりすごすのが賢いでしょ」 今更気づいて、隠れられる場所を探す。 大男がふたりだと尚の事目立つので、龍一とは別行動だ。 こんなことなら、とっとと、どこかのホテルにチェックインしてしまえばよかったと、 遅ればせながら後悔しながら、皆人は歩いていた。 目線だけで隠れられる場所を探す。 ホテルの張り出しのエントランスの上、細い路地の奥、橋の下。 ネコじゃあるまいし、和人を背負った皆人には、いろいろ無理だ。 それでもどこかのホテルの庭の植え込みの陰に身を潜めて、ようやくひとつ息をついた。
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