50人が本棚に入れています
本棚に追加
浴衣姿に背中には和人と、子連れ狼さながらな格好で皆人は考える。
走り回っても体力を消耗するだけだ。
龍一に言わせれば、タイムリミットまで2時間をきっているそうだから、
「そんならどっかに隠れて、やりすごすのが賢いでしょ」
今更気づいて、隠れられる場所を探す。
大男がふたりだと尚の事目立つので、龍一とは別行動だ。
こんなことなら、とっとと、どこかのホテルにチェックインしてしまえばよかったと、
遅ればせながら後悔しながら、皆人は歩いていた。
目線だけで隠れられる場所を探す。
ホテルの張り出しのエントランスの上、細い路地の奥、橋の下。
ネコじゃあるまいし、和人を背負った皆人には、いろいろ無理だ。
それでもどこかのホテルの庭の植え込みの陰に身を潜めて、ようやくひとつ息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!