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そこへ、
「呑気なヤツだ」
救いの神!
龍一の声がした。
「お前の雇い主は、今、それどころじゃないぞ」
暗がりから龍一は出てきて、手にしたスマートホンを示した。
「バカな。マスコミには完全に口封じしてある」
しかし、男の余裕は崩れない。
「だろうな。日本のマスコミはたいがいお利口な犬だ。だが……」
龍一は画面を操作して、映像につなぐ。
飛び出したのは、日本語ではない言語と、
「……先生」
国会議員の郷田裕次郎の顔写真だ。
「海外のマスコミにまでは、手が回らなかったとみえる」
龍一は含み笑いしながら、男に告げる。
「横領の本当の黒幕が誰か、海外から暴露されたのだから、もう日本のマスコミに口止めしてあることも、意味がなくなる。朝になれば荒れるぞ」
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