スキー場編

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「どぁああああ!」 板をサイドタップさせて、皆人は龍一に体ごとダイビング。 皆人の一瞬のためらいは、間違いなく雪原を赤く染める。 兄弟仲良く雪の上に転がって、頭から真っ白になりながら、皆人は龍一を止めた。 「まてまて待てぇっ、それは無し」 冷静に皆人を押しのけようとする龍一の右手を、皆人は体で覆うように隠しながら、 「落ちつけってば、ほら」 とテラスを指し示して見せる。 どうやら美百合にフラれたらしい男たちは、すごすごと退散する所だった。 『賢明な判断だ諸君!』 おそらく、今まさに 『dead or alive』 を彷徨ったとは、永遠に気づくことはない怖い物知らずの男たちに、皆人はとりあえず胸を撫で下ろした。
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