スキー場編

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かたや龍一は、初めてのスノーボードで、弟の皆人にスピードで遅れを取ったものの、 「ふむ。ボードもなかなか興味深い」 斜面が緩やかになり、スピードが落ちたことをきっかけに、今度は板の分析を始めたようだ。 「スキーより雪面への抵抗が軽くて、新雪にスムーズに乗れるのがいいな。 林の中から狙撃ポイントを探すには、うってつけの道具だ」 「……兄貴?」 「ん」 『相変わらず、ジョークのセンスは欠片もない』 皆人は思ったが、黙っていた。 うかつに突っ込んで、 「冗談を言った覚えなどないが?」 目もくらむような輝く微笑みと共に切り返されたら、 「あんた、セリフと表情の組み合わせ、完全に間違ってんだよ。怖ぇえんだよ」 いつもの兄弟漫才になるだけだ。
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