第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
二番線電車がまいります。 蝉の鳴き声が遠くから聞こえてくる。 少女は電車を待ちながら本を読んでいた。 「あの」 少女の前に若い男性がスマホを持って声をかけてきた。 「何ですか?」 知らない人に声をかけられ、戸惑いながらも返事をすると、男性はスマホを渡してきた。 「それじゃあ」 「え、ちょっと」 男性が去るとスマホから電話がかかってきた。慌てて出ると、老いた女性の声だった。 『そこから去って!早く!』 あまりにも慌てていた声だったため、言う通りに駅から出た途端、電車が駅に突っ込んでいた。 (私があそこに留まっていたら……) そんなことを考えていたら、ふと少女はさっきの声を思い出した。 (…あ、もしかしてあの声は) 死んだおばあちゃんの声… その時、少女の手にはスマホは無くなっていた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加