第1章

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俺は今1人の女子と見つめ合っていた。 昨日、俺以外知られていなかったはずのこの小屋に大切な本を置いてきてしまったことに気付き取りに来たところである。 たかが本と誰もが言うが俺にとっては大切な本だから万が一があると想像するだけで気が気でなくなる… だが、その小屋に入るとこの辺りの学校の制服ではない制服を着てる女子が座っていたのだった。そして、お互いに驚きながら目を合わせている状態である。 「えっと、それ…」 俺は何故だかその女子の手にある俺の大切な本を指差した。その女子は自分の手元の本に視線を移してから改めて俺を見上げ透き通った綺麗な声で問いてきた。 「これは貴方の本?」 「あぁ。」 「とても面白い本ね。残念ながら著作者の名前を知らないのだけれど」 「それは俺の…祖母の名前だ」 「へぇ」 これが、俺と彼女の出会いで 俺と彼女の初めての会話で 俺と彼女の物語の始まりだった。
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