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コツ、コツ、コツ…。
青年は、靴音を鳴らして少女のベッドへとゆっくりと近づいていく。少女は本能的な恐怖感を覚えて身を固くする。
『貴方は…誰?』
訳のわからない恐怖感と、威圧感。
強い警戒心が全身を包み、恐怖感に負けぬように目に眉を寄せた。
「まるで、猛獣に毛を逆立てる子猫の様だな」
青年を睨み付ける少女。
怯む事無く、青年は少女の頬へと手を伸ばし、スルッと撫でた。
『ッ!!?…イヤッ!!』
ビクッと少女の体が震えた。
その直後、パンッ!!と乾いた音が室内に響く。
少女が、青年の手を払い除けたのだ。
『はぁ…はぁ…はぁ……!?』
肩を上下させて呼吸を繰り返す少女に、青年はニヤリと口端を吊り上げた。
触らないで下さい。
そう、言葉を発声しようとする前に少女の視界は一気に部屋の天井へと変わる。
『ぇっ…………?』
「悪いが拘束させてもらった」
青年が少女の上におい被さり、首の左右に手を置いて見下ろした。
『イヤッ!!…離しッ!!…何これ!』
悲鳴にも似た声をあげ、起き上がろうと試みるが、いつの間にか手首を拘束していた鎖がそれを邪魔をする。
「その鎖からは逃れる事は出来ない」
『っ、やぁっ!!…』
青年は少女の首筋に顔を埋めた。
「やはり、お前からは旨そうな香りがする」
スンスンと匂いを嗅ぎ、舌先で首筋に舌先を這わした。ビクンと少女は体を震わせ硬直させる。
ーうそっ……今、舐められた…?
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