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いかにも高級品のパリッパリのスーツ。最高級ブランドのネクタイ。眩しい程に磨かれた革靴。
そして極めつけ、このルックス!
凛々しくも厳めしくない眉の造形美、涼しい切れ長の目、スッと通った鼻筋、優しく甘い吐息を吐き囁く薄い唇。髪型だって毎日スタイリストがバッチリ決めている。
とある大企業の御曹司という、将来も有望な俺だ。
そんな俺がまさかこんな、人気のないバス待ち小屋に取り残されるなんて誰が思うか。雨風、日差しを浴びないだけましと言わんばかりの椅子しかない木造。
目の前には女子高生?
膝に乗せた本に視線を落としたまま。
おい、そんな本より俺を見ろ。
この小屋には俺たち二人しか居ないというのに、そのうちの一人が俺という最上級ブランドであるのに、何故この娘は顔をあげない?
無性にイライラして煙草に火をつける。舌打ちと同時に、はらりと何かが落ちた。
A「落としましたよ、品性とマナー」
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