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「龍一、何読んでるの?」
美百合は風呂からあがると、バスタオルを頭にかぶったまま、龍一の隣にペタペタとやってきた。
そのまま無造作に、ペタンと龍一の隣に腰をおろす。
こうやって、美百合はところ構わずに座ってしまうので、龍一はリビングの絨毯を本物のクムシルクに変えた。
その価値を知らない美百合は、濡れた足で平気にやってくるが、
龍一は、尻に敷かれてこその絨毯だと思うから気にしない。
それに座り心地も申し分ないので、この床生活も割りと気にいっていた。
龍一は読んでいた本から顔をあげると、美百合を見て眉をしかめる。
「まだ髪が濡れてる。風邪をひくぞ」
いくら言っても、美百合はちゃんと髪を乾かしてこない。
ついと立ちあがってリビングから出て、新しいバスタオルとやわらかい毛布を持つと、美百合の側に戻ってきた。
美百合は絨毯に座ったまま、子どものような顔で龍一を待っている。
その姿が、どうしようもないほど愛しくて、龍一は思わず微笑んだ。
美百合の湿った頭に新しいバスタオルを乗せ、体が冷えないようにと、肩から毛布を羽織らせた。
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