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「陸攻さん?
招待状を送って下さったマヤさんてまさか…」
所謂ジト目で夫を見据えながらくるみ。
はまどり号…
垣戸島と大分県佐伯とを結ぶ、日本唯一の定期旅客飛行艇の愛称
…に乗る前に凄まじいGに見舞われては敵わないから、陸攻は素早く愛妻が抱きかけていた誤解を解きにかかる。
「大丈夫だよくるみちゃん。
マヤさんは男だから。
ほら、大阪で初めてオフ会をした時の人だよ」
マヤさんが男性と聞いた途端、くるみがホッとしたのは言うまでもない。
「!
思い出したです!
マヤさんて確か、京都でやけになだらかな陸橋を指差しながら
陸さん、何か気がつきませんか?
…と仰った方ですね!」
「そうそう。
流石くるみちゃん」
「伊達に陸攻さんの愛妻はやってないです。
その時陸攻さんは
ああっ!
あああああーっ!
…って、クマみたいに叫んだです!」
「よく覚えてるね…」
「それくらい沢山お話しして貰ってるです」
得意満面でくるみ。
余程心に残っているのか、陸攻はその時の感動を一週間に一回は愛妻に話しているらしかった。
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