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近所の犬の鳴き声。
校舎の向こう側に見える山の緑と空の青。
部員の声が響くグランド。
ボールの音が聞こえる体育館。
楽器の音色が響く校舎。
広い黒板。
長い廊下。
並ぶ教室。
薄汚れた机。
私が過ごした青春が、この学校にある。
卒業してから、もう6年が経った今、改めて校舎を歩くと少しくすぐったい。
脳裏に蘇る思い出の数々に思わず口角が緩んだり、思わず声を出して笑いそうになったり、恥ずかしくて走りたくなったり、泣きたくなったり…。腰掛けた机は、高校生の頃から成長していない私を物語るかのように、やけにしっくりきて笑いそうになった。
卒業して数年経った時、大学の友人が口を揃えて「高校生に戻りたい」と言っていたのを思い出した。
もし高校生に戻れたら…何をするのだろう?
授業をもっと真面目に受ける…
テスト勉強を頑張って好成績で卒業…
高校生活最後の部活の試合も勝つ…
体育祭のリレーであと1人抜かす…
でも、戻っても絶対に、机のラクガキは必ずする。
当時の自分を褒めたいことは、先生に怒られてもめげずにラクガキを続けたこと。
そのせいで授業はおざなりになったこともあったが、それと引き換えに、素敵な思い出を得ることが出来た。
「あずさ」
今、私の名前を呼ぶこの人と出会うことが出来た。
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