第1章

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「あずー!授業始まるよー!」 居眠りをしていても、移動教室だから叩き起こされる。 「うんー、行くよー」 口だけの私を机から引き剥がし、必死に起こそうとするのは、友人の多香子。 私は彼女のことを『たかちゃん』と呼ぶ。 ちなみに、たかちゃんはAクラス。 「ほら、行っておいで!」 半ば強制的に追い出された私は、トボトボと渡り廊下を歩き、新校舎へと向かう。 渡り廊下は、1年生の教室がある5階の一つ下、2年生の教室がある4階にある。 渡り廊下と言えば、そんな先輩方の溜まり場。 休み時間や放課後は上級生で溢れかえってるもんだから通りにくくて仕方ない。 別に何もないけど、無意識のうちに息を止めて歩いてみたり、早歩きで渡ってみたり… 下級生には息苦しい通路なのだ。 その渡り廊下を過ぎると、お待ちかねの新校舎。 新校舎というのは名前だけで、特に新しくて綺麗な校舎ではない。 ただ単に本校舎よりも後に出来ただけの校舎で、専門教科の教室が集められている。
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