第1章

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授業が始まれば廊下も静まり、人間観察もなかなか出来ない。 覗いてみても、授業風景や空き時間の先生が廊下でタバコふかしてる姿、トイレに出てきた人を見るだけ。 大したことはない。 もし本校舎に不審者など入れば、私が1番に見付けられるんだろうけど、そんなことあるはずないし。 そうなれば、授業中の暇潰しは落書き。 先生の板書をノートに写しながら、ノートの隅に似顔絵を描いたり、お気に入りの歌詞を書いたり。 後は、机のラクガキを眺めてみたり。 シャーペンで彫られた字もあれば、油性マジックで書かれた文字もある。 Bクラスになって3回目の授業だから、ほとんど見慣れた落書きばかりの中に、新しい落書きが1つあった。 それは数学の滝沢先生の似顔絵だった。 滝沢先生は野球部の先生で、短髪でつり目で肩幅がすごくて…と言う感じに見た目が特徴的な先生なのだが、その特徴がしっかり描かれていて、完成度の高い似顔絵だった。 似顔絵の下には先生の口癖である「よっしゃオラー!」と書かれている。 忠実に描かれすぎてつい「激似!!!」とコメントを書き足してしまった。 こんなことをしている間に授業は進んでいて、後を追うのに必死になるが、これが私の授業の過ごし方。
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