第1章

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「ど、どうかな?」 彼女は本から顔を上げて、読書を中断させてしまった僕をみた。 「文章は読みやすい。描写もしつこくなくて、読者も展開についていける」 「よかった」 僕は安堵した。息を止めていたかもしれないほどに。 「でも気に入らないことがあるわ」 淡々と語る彼女の顔が、少し不機嫌になったのが分かった。 僕の心臓が締め付けられるぐらいに。 「主人公の女子高生の描写が詳しすぎる。まるでモデルがいるみたい。誰なの?」 「……Aさんです。えと、貴方をモデルに新人賞を取りました!」 彼女は気づいてくれるだろうか。 この告白を。
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