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「えっ……と、その……ごめん。」
彼はバツが悪そうに謝った。
内気な性格のせいか、生まれつきか……
比較的に小さな声で話す男の子だった。
低くも高くもない独特な声質が、
私の耳栓で上手い具合にカットされている。
それが、私にはちょうど良かった。
そういえば、ここは男子トイレで……個室は二つ……だった?
一つしかなかったような気もしてくる。
もしかして、隣は清掃用具入れ、とか……?
思考を巡らせて、ふと思い立ち、分厚いメモ帳を取り出した。
走り書きして、彼に見えるようにかかげてみる。
”トイレ、使いたいの?”
「僕は今、隣の個室から君を見ているんだよ。
つまりそこは空いていて、使える状態ってことだ。」
隣が個室かどうかについては、自身なかったのに……
その説明をすると長くなるので簡単に返す。
”そっか、そうだね”
「うん……そうだよ」
”ところで、洗濯は終わったの?”
「……洗濯って?」
”さっき何か洗ってなかった?”
「ハンカチだよ。ハンカチ。」
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