#03 * 歌子

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そう言った彼の姿は、壁の向こうにひょいと消えた。 すぐに、私のいる個室のドアがノックされる。 (うっ……ノックの音は、少しキツいかも……) 「ところで……いつまで筆談を続けるのかな?  時間がかかるし、会話の効率も決して良くはないと思うんだけど。」 その言い方に少しイラっとして、思わず口を動かした。 声は出していない。ただ、口を動かしただけ。 ちょっと……そう…… ほんの少しだけ、いじわるしようと思ったのだ。 <きこえる?> 「うん。聞こえるよ。」 驚いた。 この男の子は…… 私の言いたい事を理解してくれている。 こんな友達ができたら、なんて素敵だろう……
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