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いつもの時間。
いつものバス停。
いつもの……。
黒髪を肩まで垂らして、読書に耽る彼女を、それとなくみつめる。
のは、俺だけではない。
あたかも、バス待ちな様子で待機する男子生徒たちの家はこの近所だと把握はしてる。
もの静かな時間が流れてるのは、彼女の中だけで、野郎共の中では牽制する空気がピリピリと張っている。
だが、一人の男子生徒がその間から飛び出し、彼女に駆けていった。
俺を含めた男たちは呻いた。
「Aさん!僕と付き合ってください!!」
爽やか青年は、清々しい告白をさらりと飛ばした。
彼女はきょとんとするも、不敵な笑みを浮かべた。
「兄と妹の区別ができぬ者に、交際を申し込むなど言語道断だ!」
爽やか青年は玉砕、そして脱落した。
彼女には、双子の兄がいて、なおかつシスコンで、妹に近づく悪い虫(俺も含め)を、趣味の女装で排除しているのだ。
今日も、彼女はいつもの罠だった。
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