保健の先生・その後

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「そう言えば~そんなにプリンを ゆっくり食べてても大丈夫なのか? 昼からも稽古があるだろ?」 「あ、へんへいにはいっへおいははら」 「食べるか喋るか どっちかにしてくれないか?」 僕が言うと、アヤちゃんは無言で ぷりんを堪能し始めた。 そっちかい! 一分を越える沈黙は短いようで 長かったように感じた。 アヤちゃんは一口入れる度に、 ぷりんひと匙を口の中で転がす。 ぷりんぷりんした食感を楽しむ。 舌の上に乗せて自分の体を揺らして ぷりんが揺れる様子を口の中で楽しむ。 など、バラエティに富んだ方法で 楽しんでいた。 一時間以上噛んだガムのように、 プリンから味が全て出されている ではないかと思うくらいに 喉を通すのを拒んでいた。 アヤちゃんによる「一口のぷりん 堪能ショー」が閉園した後に、 ようやく口を開いてくれた。 「先生には言っておいたから、大丈夫よ」 「なんて言ってた?」 「『…そうか。無理は…良くないよね。 主役が居ないのは寂しいが、出来る事を やっておくよ。無理はしないように ナル君には伝えてくれよ』って言ってたよ」 ちょっとオーバーに伝えてないか?
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