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いつもと同じ朝。いつもと同じ時間。いつもと同じ君。 高校の入学式。凛と背筋が伸びた君に一目惚れしてから、もうすぐ一年半。 君と同じバス停だとわかった時、どれほど僕が喜んだか、君は知らないだろう。 君の姿が見たくて。 君の瞳に映りたくて。 …君を独り占めしたくて。 君が利用する時間を探し当て、毎回同じバスに乗る僕は、少しストーカー染みている。 いつものように本を膝の上において真剣な眼差しな君。 その横顔を眺めるのが好きだった。君と僕しかいない、この時間が好きだった。 いつもと同じ朝。いつもと同じ時間。いつもと同じ君。 違うのは明日の朝、僕がいない事。 よくある親の転勤のせい。 いつもと同じ朝。いつもと同じ時間。いつもと同じ本。 違うのは A「いつまでそうしているつもり?自分から動かなければ、何も始まらないわよ。」 君のほう。
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