#04 * 歌子

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「きみたち、うるさいよ……あっち行け!  うたちゃんに、こんなことしちゃいけないんだ!  うたちゃんに、いじわるしちゃいけないんだよ!  ぼくが……ぼくが許さないから……  うたちゃん…お願いだから……泣かないで……」 初めて、彼が心から怒っているのを見た。 自分がいじわるされたからではなく、 どうしていいか分からずに泣きそうな私を見て、 彼は怒った。 結局その後、彼も私も号泣してしまい、暫くして先生が来て、 周りの子たちは怒られて、私たちはなだめられて、終わった。 それから卒業まで彼と話すこともなく、 そのまま卒業して、彼のことを忘れてしまっていた。 あの少年から気持ちを聞くことはできなかったけど…… きっと…… < またすきになってくれたんだね   い いよ > 苦しいほど抱きしめられて、感じる。 小柄だけど、骨ばっているなで肩。 私よりも大きな手、はねた短い襟足。 夏を前にーー 少し大きくなったあの少年と、 今度は違う形で出会い、 あの頃に叶わなかったことが、 これからは叶っていくのだと…… 照りつける太陽の日差しを背に浴びながら、 思った。
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