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それからというもの、雪将くんは毎日図書室に来るようになった。
さすがに教室に行かないのか聞いたけど、彼は首を横に振った。
「教室には、僕の居場所がないんだ。」
<どうして?>
「分からない。いつの間にかそうなってたから……」
そう呟いた彼は、とても寂しそうな表情をみせた。
「でもいいんだ!僕はここがいい。
ここには歌子さんがいるし……他には……歌子さんもいるし。」
<わたししか いないじゃない>
「歌子さんがいれば充分だよ!」
彼は「しまった!」という顔をしてから、
慌てたように教科書にかじり付いている。
私は赤らんだ頬を隠したくて、同じく教科書に目を落とす。
あぁ……これは……
どうしたらいいものか……
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