#04 * 歌子

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朝ーー 通常の登校時間より、うんと早く学校へ向かう。 いつも通り迷わず図書室の扉を開けて、空気の入れ替えをする。 時間を確認して、思わず溜息をもらした。 まだまだ雪将くんが来るには、早すぎる時間だった。 私は本棚の本を前に、順番に目をやっていく。 アルケミストは、昨日読み終えた。 今日雪将くんが来たら、約束通り貸してあげよう。 次の本も面白いものを探さなきゃ…… また、雪将くんにオススメしたい。 私はじっと本達を品定めする。 新しく選んだのは、流行りのライトノベルの初巻。 たまには趣向を変えてみるのもいいかと、 読んだ事のない分野に手をつけたのだが、これが意外に面白い。 休む間も無く一章を読み終えた。 壁時計に目をやると、1時間目は既に始まっているようだ。 おかしい……雪将くんはまだ来ていない…… 今日はテストはない筈で、特に学校行事もない筈で、 休日でもない筈で、雪将くんが遅刻をした事はない。 考えにくいけど、今日は教室にいるのかな……
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