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胸の鼓動が耳の奥まで響いている。
息が苦しくて、肩が大きく上下する。
拳は強く握りすぎて白ばみ、長くない爪が手のひらに食い込んだ。
教室の前……
ここであっているはずだけど……
少し背伸びをして覗き込んだ。あからさまに席が二つ空いている。
一つは私の席。もう一つは……
プリントが裏返しで置いてあって、綺麗な大人の文字で、
見慣れた苗字が大きく書かれた付箋が、これ見よがしに貼ってある。
(お休み、なのかな……)
へたへたと廊下に座り込む。
私は一体、何をそんない怖がっていたの……?
とぼとぼと図書室に戻り、窓の外を眺めた。
夏風邪を引くにはまだ少し早い季節。
梅雨明けからの変化に、体調を崩したのかもしれない……
そこまで考えてハッとした。
そうか、私…… お見舞いに行く事もできないんだ……
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