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雪将くんが図書室にくるようになってから、
私たちは毎日一緒に下校している。
彼はいつも私を家まで送ってから帰るのが習慣だったから、
私は雪将くんの家を知らない。
普通ならここで連絡網を思い浮かべるのだろうけど、
受話器を耳に当てて人と会話するなんて、
私には到底できない。
明日まで、待つしかないのか……
私は自分が情けなくなった。
雪将くんは、私の事を知ろうとしてくれているのに、
私は彼に甘えてばかりで、歩み寄ることをしなかった。
もちろん耳のこともあって、人との間にハンデを感じたり、
コンプレックスがあったというのもある。
でも今思えば、自分から誰かと関わろうとか、
誰かのことをもっと知ろうと思ったことがなく、
その結果として、ずっと友達がいなかったのではないか……
このままではいけない。
雪将くんは、たった一人の大切な友達なのだから。
私も、変わらなくてはいけない。
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